最果てを目指す南米旅行その4~エル・カラファテ第1話 パタゴニア年越し~
<12月30日>
チリの国境を無事に通過したバスは、オフロードをゆっくり進んでアルゼンチン領内に入る。ここで当然ながらチリの携帯電話の電波が入らなくなった。国境には柵などなく、割とルーズな感じ。15分ほどして、アルゼンチン側の入国事務所に到着。
出国審査1列、入国審査1列しかないので、バスが立て続けに到着すると結構混みます。入国審査ではバスの乗員名簿が机に置いてあり、自分のを探すわけですが、これでバスの乗客の国籍と名前、パスポート番号がバレバレ。個人情報がダダ漏れでした(笑)いいのかアルゼンチン!!
無事に入国審査を終えると、バスは再び舗装された道を北に向かってひた走ります。道中は殺風景だったので、完全に爆睡。ちなみに名簿を見た限り乗客の半数以上はアメリカ人で、車内は英語がかなり飛び交っていました。
予定より約1時間ほど遅れて、エル・カラファテのバスターミナルに到着。気温はプエルト・ナタレスよりも高く、日中は18度ほどで、日が出れば半袖でも歩ける程度。でも夜はそこそこ冷えます。
バスターミナルから歩いて15分ほどで、年越しをする宿、宮里INNに到着。この宿は日系人の方が営む民宿で、オーナーご夫妻は日本語を話せます。1泊100ドルですが、年越しくらいゆっくりしたいので早めに予約しておきました。冷蔵庫やセーフティボックスもあるので何かと便利です。そして、結果的にこの宿を選んで大正解でしたと。詳細後程。
昼ご飯は今まで溜まっていたクッキーなどの食料でしのぎ、街の散策へ。エル・カラファテはパタゴニアを代表するロス・グラシアレス国立公園の観光拠点であり、何でも揃います。そして、チリ側よりヨーロッパ色がかなり強い印象。
まずは携帯のsimカード探しから。大体こういうのはキオスクで売っているもので、今回も宿から一番近いキオスクでMovistarのsimを25ペソで購入。
ただしmicroシムまでしか自動でカットできなかったので、宿でハサミを借りてiPhoneその他に対応したnanoサイズに自前でカット。基盤も切らずに無事完了です。なお、ネットの接続にはAPNの手動設定が必要で、2016年12月現在では以下のように設定します。
APN: wap.gprs.unifon.com.ar
Username: wap
Password: wap
これでLTE含むデータ通信が利用可能になります。料金は50MBあたり6.5ペソです。チャージもさっきのキオスクで回線開通後可能で、100ペソ分入れておきました。
その後は両替と買い出し、散策。ATMはたくさんあります。お土産屋さん、旅行代理店、レストランなどはメインストリートに並んでいます。
パン屋さんでは、南米おなじみのエンパナーダも売ってました。
スーパーはメイン通りの端の方にあります。クレジットカードを使う時にIDがいるらしいので、そこだけ注意かなと。アルコールの購入には確認は無し。あと、12月31日はスーパーが午後4時で閉まるとのことで、30日のうちに水や食料を大量購入しておきました。
一通り用事を済ませて、晩御飯について宿で相談。近くのMi Ranchoというレストランが美味しいよ、と聞いたので迷わず突撃。20時に行くと、30分くらい待てと言われたので、名前を書いてしばし退避。30分後に着くと、きちんとお一人様のセッティングがしてありました。ちなみにこのレストラン、最近かなり人気で本店の斜め向かいに大きな支店を出したとのことで、今回はその支店に行きました。
オーダーはビールとサーロインステーキ。アルゼンチンなんだからパリージャとかアサードだろ、というのが普通ですが、ここはイタリアン系の料理屋なので、そんな豪快なメニューよりもスタイリッシュな料理が多いです。このボリューム感で約2000円とかなり安く、味も今まで食べたサーロインの中で一番美味かったです。久しぶりのビールとも相まって、かなり満足できた晩御飯でした。無料の小さなアップルパイが〆で出てくるあたり、かなりイケてます。店員の動きもよく、愛想も英語もばっちり。後で見たらこのレストラン、TripAdviserで第2位でした。納得。
宿に帰り、翌日の予定を立ててこの日は終了。
<12月31日>
さわやかな青空でむかえた大晦日。まずは宿の朝ごはん。
2016年の大晦日は、翌日元旦の氷河トレッキングに備え、事前学習の意味を込めてGlaciariumと呼ばれる氷河関係の展示館に行ってきました。アクセスは市内の専用バス乗り場から毎時00分に1本出ている無料バスで15分ほどで、宿の人曰く「早めに行って席を確保したほうがいい」とのことだったので、11時発のバスを狙って10:45に到着。
バスと言ってもハイエースのちょいデカいくらいの中型車でした。あっという間に到着。
Glaciariumもさることながら、この立地がザ・パタゴニアと言わんばかりの広大さ。
入場料は大人350ペソと結構高い。でも学生は250ペソで、ちょっと得しました(笑)大学院生も学生です!
中の写真は撮っていませんが、氷河がどのようにできるのかについて、スペイン語と英語でかなり詳細に学べます。英語もなんちゃって英語ではなくしっかり書かれてました。道順の最後に10分くらいの3D映像コーナーがありますが、これは地球の歩き方が言うほどすごくはなく、( ´_ゝ`)フーンという程度。しっかりお勉強をして、12:30発のバスでエル・カラファテに帰りました。
昼ご飯は小さなピザを食べ、その後は宿の近くにあるニメス湖へ。ここは野鳥の繁殖地になっていて、散歩にはちょうどいいコースかと。普段は入場料がかかりますが、大晦日は受付がやっておらず、でも自由に出入りできるラッキーな日でした(鍵のし忘れ??)。
湿原を歩くようなイメージです。日本では見られない野鳥が数多くいます。双眼鏡があればなおいいですね。
ニメス湖の隣はアルヘンチーナ湖で、こっちサイドにも入れます。
鳥さんには割と近距離まで近づけます。28ミリ単焦点レンズでこの感じ。
ズームで切り出さないと写真では分かりませんが、この湖にはチリフラミンゴが結構います。普通に空を飛んでいてびっくりしました。
というわけで、2時間くらいバードウオッチングを堪能して、宿に帰還。
さて、大晦日です。晩御飯をどうしようかと。どこもスペシャルメニューや予約制など、一人旅には結構しんどい環境でした。しかし、ここエル・カラファテには、なんと日本人が握るすし屋があるんです!!大晦日の晩御飯くらい贅沢しようと(この財布の緩みが正月まで続きます笑)、高値を覚悟で寿司バー藤にお邪魔しました。
店内の雰囲気は日本そのもの。完全日本語対応です。まずはお通しから。つい菊正宗をオーダー。久しぶりの日本酒に、祖国を思い出します。ここは日本の真裏で内陸地のパタゴニアですが、確かに日本がそこにありました!(笑)
オーダーは刺身と寿司。ネタは両方ともほぼ同じです。ネタは思いの外新鮮。恐らく空輸でしょうね。味も合格。日本酒がすすみます。
ついにシース―の登場です。(パタ)ゴニアでシースーなんて、何という贅沢でしょうか。やっぱり私は日本人です。合計で45ドルくらい払いましたが、大晦日なのでヨシとしましょう。
ほろ酔いで宿に帰ると、オーナーさんが「家族で年越しパーティやるからあとで声をかけるね」とのこと。どうやら大晦日の宿泊客のうち、日本人の自分だけがお呼ばれされたみたいで、これは幸運でした。そして、ここで偉大なるおばぁと出会います。
おばぁとは宮里百合子さん。何と2年前にテレ東の「世界ナゼそこに?日本人」でテレビ出演していた、当時87歳のおばあちゃんです。そして2016年12月31日が90歳の誕生日!!なんとめでたいタイミング!!
そう、自分は宮里家の年越しパーティとおばぁの誕生日(卒寿)パーティに招待されたんです。御年90になられた宮里さんは、とても90歳とは思えないほど達者で、会話もしっかりされています。沖縄出身で太平洋戦争を経験し、その後アルゼンチンに移住など、本当に波乱万丈の人生を送ってきて、今、エルカラファテで息子家族のみなさんと共に暮らしています。お話しする中で、戦前の歴史の教科書に書いてあったこと、日露戦争に勝つために日本がどうやって戦艦を買ったかなど、自分が知らなかった歴史を教えてくれたり、終戦直後から飲み始めたコーラを今でも飲んでいたりと、色々な側面から驚かされました。もちろんスペイン語もちゃんとお話になっていて、地域の方々とも楽しく交流されているようでした。
おばぁだけではなく、オーナー家族含め沢山の料理とお酒でおもてなししていただき、本当に感謝感激の大晦日でした。日系人がどのように現地社会に溶け込んでいったのか、その歴史を知ることもでき、これまたいい勉強。こうして2016年は幕を閉じ、爆竹の音とともに2017年を迎えたのでした。
その5に続く。